綿密な都市計画でつくられた城下町、津山。
その美と知恵を楽しもう。

岡山県の北東部にある津山市は、城下町として発展した地。関ヶ原の戦いの後、津山に入封した森忠政によって城が築かれ、城下町がつくられました。戦災を受けていないため当時の町並みや土木資産が残り、情緒あふれるたたずまいを楽しめます。

ポイントは吉井川。吉井川を整備し、その北側を城下町としました。東西に細長く、出雲街道沿いは商人、職人の町として栄えました。特に城の東側の城東地区は、出格子、なまこ壁、袖壁を持つ美しい家屋が残り、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。途中、道が大きく曲がっているところがありますが、これは敵の襲撃の勢いをそぐためにわざと見通しを悪くしたもの。街道から北へ、武士が住んだ上之町に向けて13本の小路が伸び、きれいに区画整理がされているのが驚きです。

森忠政は、織田信長について本能寺の変で討死した森蘭丸を兄に持ち、父も武将と武闘派の家系でした。練りに練った都市計画は見事で、町を巡ればどのような意図で道や川が整備されたかを確かめられ、その知恵に感動します。湯原温泉とは距離が近いので、立ち寄ってみてはいかがですか。

大曲り
出雲街道の約3.6kmの間に18か所の曲りがある。大曲りは現在建物の角が落とされ、先が少し見えるが、以前は見えなかった。大曲りからさらに東の荒神曲りまでの直線に大名行列がおさまる。
江戸時代の石組み
町のなにげないところに江戸時代の石組みが残っている。吉井川南の山から採石された津山石で、お城の石垣にも使用。積み方で時代がわかり、石を縦横水平に使っているものが古い。
小路
山に向かって直交してまっすぐに伸びている。「長柄小路」は槍の柄を生産していた場所など名前のいわれが興味深い。
出雲街道の宿場町だった頃の面影が残る城東地区。和蘭堂ではカフェや津山の民芸品販売、観光案内も行っている。
10数年の歳月をかけてつくった平山城。明治の廃城令で建物は取り壊されたが、備中櫓が再現されている。地上から45m、3段に及ぶ石垣が美しく、春は桜に彩られる。

明治になって栄えた城西地区

城を挟んで西側、城西地区のいちばん端にはお寺が密集しています。西から攻めてくる敵をここで攻撃するためでした。 明治に入ると城西地区の西に鉄道の津山口駅ができ、ここが町の中心になります。店が繁盛し、町屋の一軒一軒が城東地区よりも大きいのが見て取れます。

城西地区界隈
道幅は昔のままで、大名行列が通れる幅だという。津山城を築城するにあたって手斧初めをした徳守神社がある。
翁橋
出雲街道の東西2カ所の入り口に番所が設けられ、往来を厳しく取り締まった。翁橋は西の番所だった。東の番所は城東地区にある大橋。
作州民芸館
明治期の建築で、ルネサンス調のデザインが美しい。銀行として使われていたが、現在は民芸品や郷土玩具が展示され、駄菓子コーナーもあり、小休憩に最適。

城下町をつくるには、まず川を制せよ!

城下町をつくるにあたり、最初に手を付けたのが吉井川の治水事業。たびたび洪水を起こしていたため堤防が築かれ、城下町に水が入らないように「なげ」と呼ばれる水制がつくられました。水の力を弱め、流れを変える働きがあり、当時の「なげ」が今も残されています。

堤防から付き出して設けられたドーム状の構築物。石を置いただけの空積みで、頑丈。
昔はもっと川幅が広かった吉井川。地図でわかるように、城下町をつくるため川の流れを南に曲げている。

津山観光センター

津山城下町巡りの拠点。自転車のレンタルはここでできる。観光案内コーナーがあり、食事やお土産の購入ができる。

住所/岡山県津山市山下97-1
TEL/0868-22-3310
営業時間/4~9月/9:00~18:00
10~3月/9:00~17:00
休館日/12/29~1/1
料金/自転車レンタル:3時間まで400円、1時間増すごとに100円。1日1,000円

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