兵庫から徳島へ立ち寄り、さらに高知へ。海外から移住し、瀬戸内で活躍するおふたりに出会うショート・トリップ

国籍や性別、年齢などさまざまな属性の人が共存する状態を表す「ダイバーシティ(多様性)」という言葉が認知される時代になった。環瀬戸内海地域でも、多様な人たちが活躍している。なかには海外で生まれ、縁あって瀬戸内へと移住し、伝統文化やおもてなしの分野で存在感を示す人たちも。
今回は、そんな「瀬戸内LOVER’S」である、兵庫県淡路島で藍染に取り組むサリー・ハンコックスさんと、高知県れいほく地区でゲストハウスを営むヤンシー・リバーさん、おふたりに出会うショート・トリップをご紹介。


伝統に敬意を払いながら独自の感性で取り組む藍染
母国イギリスの大学で織物やイラストレーションを学んでいたサリーさんは、2010年にワーキングホリデーで初来日。大阪でアーティスト活動を行っていたときに、夫となる岡田淳一さんと出会った。「結婚し、子どもを授かり、海のあるところで生きていきたいと考えました。そこで選んだのが淡路島。実は夫のふるさとなんです」とサリーさん。もともとアートやクラフトの活動に取り組んでいたサリーさんは、ある日、「住まいのカーテンをつくりたい」と藍染を学び始めた。それからすっかり藍染の世界の虜になり、2020年には藍染の工房と店舗をオープン。藍の栽培から蒅(すくも)づくり、藍建(あいだて)までを夫とふたりでこなしている。
「藍染は日本の伝統的な染物。染め直しができるなどエコロジカルな面もあります。そこに敬意を払いながら、私ならではの感性でものづくりを楽しみたい」とサリーさん。淡路島の美しい自然を思わせる天然藍の風合いと、自由な発想。サリーさんは、淡路島で藍染の新たな可能性を拓いていく。

予約制で天然藍染のワークショップも受付中。ユーモアにあふれた丁寧な指導が好評

デザインのモチーフも個性的!つい手に取りたくなる

水引を藍染めした「あわじ玉」のアクセサリーはお土産にも人気

衣類や生活雑貨、アートなど、サリーさんと淳一さんの作品が並ぶショップ

AiAii
兵庫県洲本市海岸通2-3-19
体験は月〜土曜10:00〜17:00(要予約)ショップ営業日はSNSで確認を
日曜
手ぬぐい染織 2,500円
あり(近隣)



静かな山里で得た感動を多くの人と共有できる場所にしたい
ヤンシーさんが妻の梓(あずさ)さんと出会ったのはメキシコ。「彼女も僕も旅行中で、意気投合して一緒に中南米を巡りました。それがきっかけとなり、2017年に結婚しました」と話すヤンシーさん。梓さんが「田舎暮らしをしたい」と借りていた、この町の古民家へと移住してきた。実はヤンシーさんが日本で初めて訪れたのが大豊町。もともと自然が大好きで、山と川があるこの土地にもすぐに愛着が湧いた。フレンドリーな性格も幸いし、町の人たちに愛されているヤンシーさん。現在は一棟貸しのゲストハウスの経営とお茶栽培に取り組んでいる。
「僕はアメリカで大工をしていたから、古民家を自分でリノベーションして宿にしました。お茶畑は、お手伝いをしていた園主が高齢になり、『ヤンシーに畑をあげるよ』といただいた」と笑う。ゲストハウスの利用者は、訪日外国人が多い。「大豊町も四国もすごく魅力的。この静かな山里で自分が得た感動を、外国人を含めた多くの人と共有できる場所にしたい」と願うヤンシーさんだ。


ヤンシーさんが栽培しているお茶「ヤン茶」

和モダンな雰囲気にコーディネートされたゲストハウス

宿名は古びた建物であることをもじって「ボロ屋」から付けた
Guesthouse boro-ya
高知県長岡郡大豊町八川120
冬季
1泊大人1人14,000円、2人15,000円、4人22,000円
あり





大藍商の旧屋敷にあった資料などを活用した藍の資料館。道具類の展示があり、藍染の歴史を学べる。藍染体験も可能。
徳島県板野郡藍住町徳命字前須西172
9:00~17:00
火曜(祝日は開館)
大人300円、中高生200円、小学生150円
あり

※掲載価格などは、変更される場合がございます。
※駐車場ありには有料や提携、近隣の公共駐車場も含まれます。



