東京から移住した川田さんに大三島での暮らしと瀬戸内の魅力を尋ねる

今回取材させていただいたのは、2016年に大三島へ移住してきた川田祥子さん。
同じく移住者のパートナーと出逢って家族を築き、現在は夫婦で島暮らしを日々、楽しんでいるという。
そんな川田さんに、瀬戸内・大三島での暮らし心地について伺った。

幼い頃の思い出が詰まった瀬戸内へ

川田 祥子 さん
大三島みんなの家 スタッフとして2016年に東京から移住。瀬戸内の穏やかな景色に心惹かれ、香川県直島での生活を経て大三島にたどり着く。ワインが出来ていく過程を間近で見ているうちに、ワインの奥深さにすっかり魅了される。

東京出身で東京在住だった川田さんは、2016年3月に当時勤めていた会社の「交換留職」という制度を利用して大三島に移住。川田さんにとって、瀬戸内暮らしは実は2回目。以前、香川県の直島で4年間暮らしたことがある。

「小さい頃、夏休みになると母の実家がある愛媛によく行っていました。穏やかでキラキラしている瀬戸内の海は夏の大切な思い出」という川田さんにとって、瀬戸内にあるおばあちゃんの家で過ごした時間は忘れられないものだった。

それからもう1つ。国内外の色んな土地を旅行する中で、海に向かって開けていてのんびり過ごすことができる海外の美術館のあり方に出会った。作品だけではなく、建築空間も景色も楽しめるところに惹かれ、そんな場所で暮らしたいという想いが強くなっていたタイミングだった。

同じく移住者だったパートナーとの出逢い

川田さんファミリー
佑輔さんはぶどうやワイン造りを、祥子さんはワイナリーの販売所スタッフを担当されている。

そして2回目の瀬戸内暮らし。大三島との出会いは、世界で活躍する建築家・伊東豊雄氏のプロジェクト「これからの建築を考える(伊東建築塾)」と当時勤めていた会社のつながりによるもの。大三島で地域の方に喜ばれる取組みとして、大山祗神社参道に賑わいを持たせるためにカフェを始めることになり、川田さんは元の会社の社員として半年間だけこのカフェで働くことになった。

「元々、半年で帰るなんて思ってもいなかったのですが、実際、思ったような成果も出せませんでした。そこで会社にお願いし、2018年の夏までカフェで働くことになったんです」。そんな流れで島暮らしを継続するうち、同じく移住者でワインづくりをされていた佑輔さんと出会い、結婚することになったという。現在は元々カフェをしていた建物で、「大三島みんなのワイナリー」のスタッフとして働いている。「今は自分たちがやりたいことを、きちんとやることが大事だという考えのもと、日々を送っています」。

地域と深くつながることでさまざまな学びを得られる

さまざまな土地で暮らしてきたけれど、どこに住んでも仕事中心の日々だったと川田さんは振り返る。それは大三島でも同じだというが、一方でこの島で暮らし始めてからは、より深く地域と付き合うようになったという。その最たるものが地域のお祭りだ。現在、大三島には13の集落があり、集落ごとのお祭りを経て、大山祗神社の神を総出で送り出す。地域を練り歩いて獅子舞を踊るが、同じ島の中でも地域ごとに異なる特徴があって面白いと川田さんは語る。

「お祭りは練習も含めて、地元の方が皆集まります。正直、移住してきたときは、こういった地域の活動に関わると思っていなかったのですが、お祭りを通じて地域の方に受け入れてもらえるような気がして、今では積極的に関わるようになりました」。

また、大三島には豊かな学びの場もあると感じていると川田さんは話す。「確かに高校などの教育施設は少ないですが、いわゆる学校以外の学びの場が豊富だと思います。いろんな道のプロたちが身近な距離感の中で暮らしており、そこから学ぶことも多いんです。将来的に子どもは島から出ていくことになるでしょうが、この島がふるさとだと思ってくれればうれしいですね」。

島暮らしの豊かな風情も橋でつながる利便性も

大三島での生活利便性について川田さんに聞くと、「本四連絡橋の存在の大きさを感じます。簡単に本州や四国に行けて、宅配便なども届きやすくとても便利。船で移動するのも好きだったので、ここでの生活では船に乗る機会がほとんどなくて、ちょっと寂しいくらいです」と笑う。

海と共にあるこの島での暮らしは、ふとした瞬間に海に癒されるところが魅力という。「海は天気や季節でも違うし、毎日見ていても飽きない。見る場所によっても見える景色が違うのがいいところ。誰もがお気に入りの海の風景を持っているんじゃないですか。」

海と自然、アートのような文化的な刺激、その両方が備わっているところに惹かれて大三島に移住した川田さん。「東京では思い返せばいつも気を張って生活していたけれど、ここでの暮らしは、いい意味で肩の力を抜いてリラックスして暮らしています。結婚も子供を授かったのも大三島なので、ここで生活する縁があったのかなと思います」。

夏でも冬でも子供を遊ばせる近所の海岸。これは子供が小さい頃の写真

大三島で一番高い鷲ケ頭山から見下ろす海と島々の風景がお気に入り

川田さんがスタッフとして働く「大三島みんなのワイナリー」。

ぶどうの成熟に適した瀬戸内の気候と大三島の土と、柑橘などの耕作放棄地を活用し2015年にワイン用のぶどう栽培を始め、2019年には島内に醸造所を完成。ぶどうの栽培から醸造まで一貫して大三島で行っている。ワインを通じて、都会の人々と島の人々を結びつける大三島で初のワイナリー。


赤ワイン「島紅(しまんか)」シリーズや、潮風を想わせるかすかな塩味が特徴の白ワイン「島白(しましろ)」シリーズに加え、島の無農薬柑橘をもちいた発泡性果実酒「島みかん」シリーズも人気。「しまんかサイダー」や無添加・無着色で果汁100%の大人のぶどうジュース「しまんかジュース」も販売している。

有料で試飲もできます!

瀬戸内の海と自然を感じることができる海のそばにあるぶどう畑


DATA
住所/愛媛県今治市大三島町宮浦5562
TEL/0897-72-9377
営業時間/10:00~16:00
定休日/月曜日

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