「仁淀川は人生のベストリバー」。国内外の川と過ごし、この川に帰ってきた大槻さんを訪ねて

2024.01.10

「ラフティングって川を旅すること」と話すのは、「スノーピークおち仁淀川」の大槻章三郎さん。
若き日に仁淀川に惹き寄せられて、リバースポーツの世界に没頭したこともある根っからの「川ガキ」。
今や越知町にしっかりと根を下ろして、訪れる人にこの地の魅力を伝える大槻さんの物語に迫った。

ヒッチハイクでたどり着いた高知県の清流・仁淀川

大槻 章三郎 さん
宮城県仙台市出身。四国の川に惹かれて19歳の時にヒッチハイクで高知県へ。縁あって吉野川のリバーガイドとなる。その後、フリースタイルカヤック競技を始め、2016年秋にW杯で銀メダルを獲得する。2018年1月、「スノーピークおち仁淀川」のオープニングスタッフとなり現在は副店長。

「仁淀川との出会いは2004年。河原のキャンプ場(いの町)に滞在して過ごしました」と話すのは、「スノーピークおち仁淀川」の副店長・大槻章三郎さん。仁淀川は西日本最高峰の石鎚山を源とし、太平洋までの約124㎞を滔々と流れる大河。19歳の大槻青年は、ふと思い立ち、ヒッチハイクの旅へ。故郷の仙台市から高知県へ、雄大な流れに導かれるようにやってきた。「愛読していた野田知佑さんのエッセイにしばしば高知県が登場し、彼が愛した仁淀川や四万十川をリアルに見てみたいと思ったんです」。

中流のいの町で過ごした初夏の1ヶ月ほどの日々は、とにかく心地良かった。川の美しさや温暖な気候、そして出会う人の優しさ。そのまま居たい気持ちもあったが、少し遡った越知町へと移動する。

かつて夢中になって読んだ本『仁淀川漁師秘伝―弥太さん自慢ばなし』の語り部である川漁師の宮崎弥太郎さんが、越知町の人であることを思い出したのだ。例によって河原のキャンプ場に腰を落ち着けた時、カヤックツアーの一行が目の前を通り過ぎた。「興味津々に見ていたら、ガイドさんが『乗ってみる?』と声をかけてくれて。それをきっかけにガイドさんと仲良くなり、吉野川のラフティングガイドの職を紹介してもらいました」。

国内外の川でガイドとして競技者として暮らした日々

吉野川は高知県と徳島県を流れる一級水系。中流域は激流で楽しむ国内屈指のラフティングポイントとして知られていた。

吉野川ではラフティングガイドとしての腕を磨いた。また、休日にはラフティング以外のリバースポーツにもチャレンジ。特にカヤックには夢中になった。約4年間をここで過ごし、ついには海外を目指す。ワーキングホリデービザで、オーストラリアへ。農作業をしながら日常英会話を身につけ、次にゴールドコーストでアウトドアレジャーのガイド、さらにはニュージーランドでもラフティングガイドとして働いた。

帰国後、ラフティング会社に就職したが、大槻さんの心はもやもやとしていた。「アクティビティとしてのリバースポーツは楽しいけれど、上手になっても何かを残せるわけじゃない。せっかくなら名前を残せるようなことをやりたい」と競技としてのリバースポーツ「フリースタイルカヤック」に挑戦する。アルバイトをしながら得たお金をつぎ込んで、海外遠征や大会出場を重ねた。そして2016年秋、アルゼンチンで開催されたW杯で銀メダルを獲得。「競技にかけた情熱は完全に燃え尽きました」と笑う。

競技生活から足を洗い、一般企業に就職をしたが、運悪く腰を悪くしてしまい、仕事を続けることが困難になった。そんな時、知人が「スノーピークがラフティングガイドを募集している」と教えてくれた。「場所を聞いたら越知町。運命的なものを感じました」と2018年1月に入社した。

人生のベストリバーの魅力を多くの人に伝えたい

仁淀川と初めて出会って14年、国内はもちろん世界の川を渡り歩いた大槻さんは、「仁淀川は特別な川」ときっぱり。「大秘境じゃないのに、水質の良さは国内でも折り紙つき。空港や市街地から車で1時間程度なのに、こんなに綺麗な川は稀有だと思う」。日本は名川が多く、四国にも魅力的な川は多い。仁淀川は紙漉きや酒造などの営みを支え、鮎や鰻、カニなどの生き物がいる。そしていろんな体験ができる遊び場、学び場でもある。そんな川の流域でも、大槻さんが一押しするのは越知町だ。自然が与えてくれる恵みを享受しながらも、生活に不便さを感じない、程よい田舎であることが大槻さんのお気に入りのポイントだ。

高規格のキャンプ場と直営店がある「スノーピークおち仁淀川」。ここで大槻さんは、「アウトドアの魅力を多くの人に伝えたい」と奮闘中だ。スノーピークはその土地ならではの体験価値を提供することに力を入れているが、越知町には仁淀川がある。「穏やかな川だからラフティングしている時に、ツアー客の方とゆっくり話せます。あれがミサゴだよ、カワセミがいるよって話せるのはこの川だからこそ。仁淀川のラフティングって、3歳からおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめる、ラフティングのど真ん中なんです」。時には三世代ラフティングの案内をすることもあるが、国内外の激流を知る大槻さんだからこそ、仁淀川の持つポテンシャルを余すところなく伝えられる。

「気づけばこの町で妻と出会い、結婚し、子どもも授かった。越知町は僕のベストタウンで、仁淀川は人生のベストリバー」。そう微笑む大槻さんのそばを、仁淀川はゆったりと流れていく。

他の川では味わえない穏やかに楽しめるラフティングがここならでは
越知町生まれのお子さんの存在により、いっそうこの町に馴染むことができた

野遊びにオフシーズンなし! 温暖だから冬キャンプもgood!

子会社のスノーピーク地方創生コンサルティングが越知町と力を合わせて、本社がある新潟県三条市に次いで、国内では二例目となるゼロベースから作り上げたキャンプ場。2018年4月のオープン以来、仁淀川に面したフィールドにある30区画のオートキャンプサイトと、10棟のモバイルハウス「住箱」でキャンパーを出迎え、直営店も併設。また3月下旬から11月上旬には、スノーピークの施設としては全国で唯一、ラフティングを楽しめる。

多彩なギアやアパレルが並ぶショップ。
スノーピークおち仁淀川キャンプフィールド
オリジナル商品も要チェック
より自然を感じられるように、曲線的なサイトのデザインも凝っている
冬季の利用やキャンプ初心者にオススメの住箱は、快適にステイできる

住所/高知県高岡郡越知町片岡4
TEL/0889-27-2622
営業時間/9:00〜18:00
定休日/水曜日(正月、GW、お盆は営業)
HP/https://sbs.snowpeak.co.jp/ochiniyodogawa/
※ラフティングは3月下旬〜11月上旬

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